日本では七福神や四天王として知られている毘沙門天ですが、その前身はインド神話に登場する「クベーラ」という財宝の神様と言われています。このインドの財宝神クベーラには、サンスクリット語で「ヴァイシュラヴァナ」という呼び名もあります。この「ヴァイシュラヴァナ」という音が中国語で訳されて「毘沙門」となりました。そしてこの「毘沙門」に、神や天を表す「天」という字が加えられ、「毘沙門天」という名になったといわれています。
毘沙門天の前身となったインドの財宝神クベーラは「ヴァイシュラヴァナ」という別名を持っていました。この「ヴァイシュラヴァナ」という名前はサンスクリット語で「よく聞く」という意味にも捉えることができました。そして、この「よく聞く」という意味が中国語で訳されて「多聞天」になりました。これが日本へと伝わり、毘沙門天とともに「多聞天」という名前の由来とされています。
日本では、独尊で祀られる場合には「毘沙門天」と呼ばれ、四天王として祀られる場合には「多聞天」と呼ばれています。
七福神とは、日本で信仰されている七体の福の神を指します。これらの福の神の由来は様々で、ヒンドゥー教、仏教、道教、神道などが挙げられます。歴史的には七福神に属する神々は一定ではなく、様々な様式があったといわれています。現在は、毘沙門天、恵比寿、寿老人、大黒天、福禄寿、弁財天、布袋が七福神であるとされることが多いようです。
これら七福神は、インドの神様だったのが大黒天、毘沙門天、弁財天、中国の神様だったのが福禄寿尊、布袋尊、寿老人、そして唯一日本の神様が恵比寿となります。
なお、大岩山毘沙門天境内には本堂西側に山王権現と並び、大黒天が祀られております。